Aaron Judge アーロン・ジャッジ

ジーターさんの後を引き継いだYankeesのキャプテンでMLBの顔とも言えるスーパースター。

Yankeesのキャプテンは本当に適格な選手でないと任命されない(実際にジーターさん以降は誰も任命されていない)ため、それにふさわしい人格やキャプテンシーを備えた人間なのだろうと推察しています。

実際にThe Bronx Zooなんて本もあったにゃん。

このブログではTV中継のバッテリーの攻防をより面白いものに感じられるような情報を提供します。

目次

概要

2024年のワールドシリーズでは不振を極め、象徴的なエラーもありましたが、レギュラーシーズンの成績はスラッガーとして素晴らしい数字を残しました。打者としては、現代のMLBが求めている理想を体現している存在だと感じます。

今、MLBの打者に求められるのは長打力と出塁能力(得点生産能力につながると考えられているため)で、そのための三振はある程度許容されているように感じます。

一方、スタットキャストからはスプリント能力の低下と守備範囲の狭小化が見られますが、依然としてセンターを守ることができるだけの守備能力も保持しています。2025年度はYankeesにベリンジャー選手が加入したのでまたライトに戻る可能性も高いです。

打率本塁打打点出塁率OPS+OPSBB%K%盗塁
.32258144.4581.15922318.9%24.3%10

カウント別

MLB打者の平均的傾向 2ストライクでの打撃成績は打率・出塁率・長打率すべてで急降下

  • 各ストライクでの打率/出塁率/長打率
    • 0ストライク .336/.390/.577
    • 1ストライク .326/.391/.538
    • 2ストライク .168/.244/.264

ジャッジ選手の傾向をまとめると下記の通りです。

  • 0ストライク、1ストライクの成績が突出(0ストライクは打率 .469・OPS 1.651、1ストライクは打率 .452・OPS 1.481)。
  • 0ボール・2ストライクでもOPSが1.046!
  • 2023年は速球系以外の打率が低かったが、2024年は大幅に向上(緩急系は .196→ .262、ブレーキング系は .205→ .258)。
  • 一貫して右投手の外角低めが苦手ではあるが、2024年度は高めのボールの対応に苦労していた(なぜか内角高めのストライクゾーンを外れた球は長打をかっとばしていた)。

2024年は球種への対応能力が上がり穴が少なくなったように見えますが、一方、これまで成績がよかった高めのボールに対しやや苦労しています。

インコースから真ん中、かつ、ベルト付近より下のゾーンに対しては滅法強く、このあたりにコントロールミスしたボールが行くと、長打を覚悟しなければなりません。

非の打ち所のない成績を残していますが、打者としては「甘い球を高確率で仕留めていく」という完全なスラッガータイプです。

バッテリーからすると、配球やコントロールを間違わなければ抑えられる可能性は見出していると思います(外角低めと高めのコンビネーションで)。

ただし、ジャッジ選手ほどの長打力がある打者は稀なので、そのバッターボックスでの存在感が投手に失投をさせるという側面はあるはずです。加えて、三振が多いとはいえ、選球眼も非常に良いので、中途半端な誘い球には手を出さず…

脳が動きを意識してしまうと、逆にできていたことができなくなってしまう… このようなメカニズムについては、『才能の科学』という本に詳しく書いていたにゃ。

スウィング

MLB.comが提供するスタットキャストに2024年5月に追加された「バット・トラッキング」から抜粋しています(用語の説明は別途)。

順位が高いほうがよいものももちろんありますが、各選手のスウィングの個性が現れます。

スウィングの個性が現れた例

大振りパワーヒッターの典型であるスタントン選手とこれまた安打製造機の典型であるアライズ選手の比較がこちら。

スウィングにパワーを持たせたいスタントン選手は平均バット・スピード、ファスト・スウィング率(75マイル/h以上のスウィング)でMLBトップの数字であるが、コンパクトなスウィングでバットの芯(スウィートスポット)に当てることに長けたアライズ選手はなんと平均バット・スピード、ファスト・スウィング率でMLB最下位。

一方、どれだけ芯に近い場所で打つことができたかを示すスクエア・アップ率はアライズ選手がMLBトップで、スタントン選手はMLB平均以下。

ちなみに、ボールに当たるまでのスウィングの距離を測る「スウィング軌道距離」でも、スタントン選手がMLB最長、アライズ選手がMLB最短と両極端な個性が指標から読み取れます。

平均バットスピードファストスウィング率スウィング軌道距離スクエアアップ率
スタントン81.3m/h98.7%8.6ft20.8%
アライズ63.2m/h0.3%6.0ft43.9%

大谷選手に指標が近いですが、大谷選手よりもややスウィングが速く、確実性は少し劣るという数値です。

スウィングのスピードやパワーはMLB屈指、かつ、バレル率はMLBでダントツです。

さらに、バレル率だけでなく、Sweet Spot%という指標においても40%を超える数値を維持(Launch Angleも19.0)と角度のつける技術も持っています。まさに本塁打を打ち込むスウィングと言えるでしょう。

Sweet Spot%とは打球角度が8度~32度の範囲に入る割合を示す指標です。この角度範囲は打球の価値が最も高くなる領域とされています。

個人MLB順位MLB平均
平均バットスピード77.1m/h471.5m/h
ファスト・スウィング率74.8%422.5%
スウィング軌道距離8.2ft47.3ft
スクエア・アップ率24.2%12025.0%
ブラスト・スウィング率18.4%510.3%
バレル率26.9%1-

詳細データ

上に書いた内容のエビデンスデータを記載しています。
このデータを使って、「自分だったらどの球種、どのコースで取るか」を考えていただくのも野球の1つの楽しみ方だと思います(もちろん走者の数や投手の持ち球によって変わりますけどね)。

カウント別詳細

個人

カウント別打率出塁率長打率OPS
初球.468.481.9481.429
1-0.447.4621.1051.567
2-0.546.6151.3641.979
3-0.500.9772.0002.977
0-1.536.567.8931.460
1-1.439.439.8051.244
2-1.333.325.590.915
3-1.625.8821.9382.820
0-2.263.256.7901.046
1-2.178.187.356.542
2-2.193.202.409.611
3-2.231.527.5281.055

MLB平均との差

平均との差打率出塁率長打率OPS
初球+.135+.137+.388+.524
1-0+.109+.119+.522+.642
2-0+.202+.268+.732+.999
3-0+.074+.033+1.110+1.143
0-1+.211+.233+.380+.613
1-1+.118+.112+.280+.393
2-1+.002-.009+.018+.009
3-1+.286+.183+1.314+1.497
0-2+.115+.099+.569+.668
1-2+.014+.016+.108+.123
2-2+.023+.025+.140+.166
3-2+.040+.074+.200+.275
コース別詳細

対右投手

対左投手

球種別詳細
球種打席数打率長打率wOBA空振り%K%
4-Seam Fastball197.375.787.53622.923.4
Slider117.236.438.38742.725.6
Sinker126.389.769.53315.218.3
Changeup59.229.625.43145.832.2
Sweeper61.320.840.51731.423
Cutter57.319.660.47030.519.3
Curveball39.257.686.41942.738.5
Split-Finger23.3531.000.59143.639.1
Slurve4.000.000.0008075
目次