Adley Rutschman アドリー・ラッチマン

スティーブン・クワン選手に続いて、KONAMI MLB PRO SPIRITでの大谷セレクションからの打者をもう一人ピックアップ。

ボルチモアの司令塔、チームリーダーであるアドリー・ラッチマン選手。お父様とホームランダービーに出たり、デビュー戦では感極まって涙したりとドラマ性も十分で、2025年から加入した菅野智之選手を趣味のゴルフに誘うなどリーダーシップも発揮しているようです。

そういえば、MLBの若きスターらしく、パドレスのメリル選手と一緒にKONAMI MLB PRO SPIRIT動画にも出ていました(ラッチマン選手、めちゃくちゃイケメンですね)。

このブログではTV中継のバッテリーの攻防をより面白いものに感じられるような情報を提供します。

目次

概要

攻守に高水準のパフォーマンスを出せるキャッチャーで、将来的にはジャイアンツの名選手だったバスター・ポージーさんのようになれる可能性は十分秘めています。

2024年に関しては6月にファウルチップが右手に直撃して以降、成績が急降下しました。

ファウルチップ(6/27)以前は打率/出塁率/長打率が .297/.350/.470だったのに対し、ファウルチップ以降は .181/.281/.269と大幅に悪化。

2025年は、2023年同等もしくはそれ以上の成績を出せるかどうか真価が問われる年になります(記事を執筆している2025年4月13日現在、打撃に関しては2023年度水準に戻っていそうです)。

守備に関しても2023年はブロッキング、フレーミング、ポップタイムのすべてで優秀な数値を出していましたが、2024年はフレーミングとポップタイムが悪化していました。このあたりもファウルチップの影響だったのか…

そんな状況下で離脱することなく出場を続けたことは称賛されるべきで、ボルチモアのハート&ソウルと言われる日も近いのではないでしょうか。

打率本塁打打点出塁率OPS+OPSBB%K%盗塁
.2501979.318.7091069.1%16.1%1

カウント別

MLB打者の平均的傾向 2ストライクでの打撃成績は打率・出塁率・長打率すべてで急降下

  • 各ストライクでの打率/出塁率/長打率
    • 0ストライク .336/.390/.577
    • 1ストライク .326/.391/.538
    • 2ストライク .168/.244/.264

ラッチマン選手の傾向をまとめると下記の通りです。

  • 初球スウィング率がMLB選手(200打席以上)の中で最も低い。
  • デビュー年の2022年に関しては左打席の方が数値がよかったが、2023年、2024年と逆転していき、2024年に関しては右打席の方が1割以上打率が高い(ただし、ファウルチップ以降は右打席の成績は急降下)。
  • 2024年は得意だったフォーシームに左打席で大苦戦。
  • キャリア通じて、左打席の方が苦手球種が多く(カーブ、スイーパー、カットボール)、右打席はスイーパーへの対応が苦慮。
  • 両打席ともにやや内角高め付近が苦手。

MLBで結果を出している打者の中でフォーシームが打てないという選手はまずいません。

フォーシームを打ち返せることがMLBでやっていく最低条件になるのですが、ファウルチップ以降のラッチマン選手は両打席で全くフォーシームが打てませんでした(フォーシームに対し、打率/本塁打が右打席:.120/1本、左打席:.169/1本)

よくこんな状態で出場し続けたにゃん… プロフェッショナルとも言えるにゃ。

本来は、上述の苦手な球種を勝負球、内角高めのフォーシームを見せ球という形で攻略していく打者ですが、フォーシームがここまで打てないと、他球団は徹底してフォーシームを使ってきます(そして、実際に抑え込まれていました)。

2025年も同様の攻め方が継続されているようで、ラッチマンに対する速球系割合が急に上がっています(53.3%→59.3%)。が、ラッチマン選手、今年はその速球系をきっちりはじき返しています。

スウィング

MLB.comが提供するスタットキャストに2024年5月に追加された「バット・トラッキング」から抜粋しています(用語の説明は別途)。

順位が高いほうがよいものももちろんありますが、各選手のスウィングの個性が現れます。

スウィングの個性が現れた例

大振りパワーヒッターの典型であるスタントン選手とこれまた安打製造機の典型であるアライズ選手の比較がこちら。

スウィングにパワーを持たせたいスタントン選手は平均バット・スピード、ファスト・スウィング率(75マイル/h以上のスウィング)でMLBトップの数字であるが、コンパクトなスウィングでバットの芯(スウィートスポット)に当てることに長けたアライズ選手はなんと平均バット・スピード、ファスト・スウィング率でMLB最下位。

一方、どれだけ芯に近い場所で打つことができたかを示すスクエア・アップ率はアライズ選手がMLBトップで、スタントン選手はMLB平均以下。

ちなみに、ボールに当たるまでのスウィングの距離を測る「スウィング軌道距離」でも、スタントン選手がMLB最長、アライズ選手がMLB最短と両極端な個性が指標から読み取れます。

平均バットスピードファストスウィング率スウィング軌道距離スクエアアップ率
スタントン81.3m/h98.7%8.6ft20.8%
アライズ63.2m/h0.3%6.0ft43.9%

2024年は、その前後の年と比較すると、ややバットスピードが遅くなり、ブラストスウィング率も上がってきていませんでした。スウィングが弱くなったことが打撃成績の低下につながったとも考えられます。

多少、右左で数値が異なる部分もあるのですが、基本的には、Sweet Spot%とスクエア・アップ率が高く(芯に当てて質の高い打球を飛ばす技術がある)、かつ、ストライクゾーン外の球はきっちり見送れる選球眼がある好打者で、執筆時点では2025年も同様の傾向は出ています。

2024個人MLB順位MLB平均
平均バットスピード69.1m/h18471.5m/h
ファスト・スウィング率6.4%18122.5%
スウィング軌道距離6.9ft1847.3ft
スクエア・アップ率30.0%2925.0%
ブラスト・スウィング率9.0%16210.3%
バレル率6.1%59-

詳細データ

上に書いた内容のエビデンスデータを記載しています。
このデータを使って、「自分だったらどの球種、どのコースで取るか」を考えていただくのも野球の1つの楽しみ方だと思います(もちろん走者の数や投手の持ち球によって変わりますけどね)。

カウント別詳細

個人

カウント別打率出塁率長打率OPS
初球.261.261.565.826
1-0.290.293.526.819
2-0.474.474.9471.421
3-01.000
0-1.222.219.254.473
1-1.343.333.508.841
2-1.314.314.629.943
3-1.500.808.6001.408
0-2.233.243.329.572
1-2.168.168.280.449
2-2.155.151.202.354
3-2.308.577.4421.019

MLB平均との差

平均との差打率出塁率長打率OPS
初球-.072-.083+.005-.079
1-0-.048-.050-.057-.106
2-0+.130+.127+.315+.441
3-0--+.056----
0-1-.103-.115-.259-.374
1-1+.022+.006-.017-.010
2-1-.017-.020+.057+.037
3-1+.161+.109-.024+.085
0-2+.085+.086+.108+.194
1-2+.004-.003+.032+.030
2-2-.015-.026-.067-.091
3-2+.117+.124+.114+.239
コース別詳細

対右投手

対左投手

球種別詳細
球種打席数打率長打率wOBA空振り%K%
4-Seam Fastball206.268.448.35613.412.6
Changeup116.226.321.26619.612.1
Slider70.313.453.36630.330
Sinker72.295.525.41511.313.9
Cutter56.234.277.28914.314.3
Curveball42.262.429.3182019
Sweeper34.121.121.12618.332.4
Split-Finger35.156.313.22012.514.3
Slurve2.500.500.45000
Knuckleball1----.70000
データ参照先

「カウント別詳細」のデータは baseballreference.com を参照しています。
「コース別詳細」および「球種別詳細」のデータは baseballsarvant.mlb.com を参照しています。

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